


「プリザーブドフラワー」とは、生きた花の風合いそのままに、長期間保存できるように加工した花のことです。
胡蝶蘭の高貴な美しさを、家庭でも身近に楽しんでもらおうと、埼玉県洋蘭生産者組合では、全国でも珍しい「胡蝶蘭のプリザーブドフラワー」の生産に力を入れています。
一つの鉢に数十の花が連なる、豪華な胡蝶蘭。
お祝いなどには欠かせない花ですが、栽培と開花はとても難しいものです。それだけに価格も高く、一般の人が日常的には、なかなか手軽に楽しめるものではありませんでした。

▲左:埼玉県農林部農業支援課 黒澤健一さん
右:埼玉県洋蘭生産者組合組合長 榎本雄治さん
そんな胡蝶蘭を、一輪ずつ別々の商品として加工することにより、胡蝶蘭の美しさをカジュアルに楽しんでもらおうと、埼玉県洋蘭生産者組合では「一輪コチョウラン」および胡蝶蘭のプリザーブドフラワーの商品化に取り組んでいます。
今回、埼玉県洋蘭生産者組合組合長の榎本雄治さんと、埼玉県農林部農業支援課の黒澤健一さんに話を伺うことができました。
榎本洋蘭園の営業を始めてから、およそ18年になります。当初は規模が小さかったのですが、少しずつ大きくして、現在ではハウス6棟に常時20,000株の胡蝶蘭を育てています。
現在では、台湾など暖かい国の業者に、花の咲く前の段階まで育てさせ、それを仕入れて花を咲かせる事も多いようです。
しかし私どもでは、フラスコの中で発芽した状態で仕入れ、商品になるまでその後2年半の間、面倒を見続けるという昔ながらの方法で育てています。

発芽したばかりの状態から、3回の植え替えを経て、花を咲かせるまでには、それぞれの段階でとても神経を使いますが、生産者としては、昔ながらの育て方を踏襲した方が安心でき、結局は生産が安定するからです。
それだけ手間がかかる胡蝶蘭ですから、一般の人には、どうしても「高価な花」というイメージを持たれがちです。しかし生産者としては、手間暇をかけて大切に育てているからこそ、多くの人に見ていただきたい、という気持ちもあります。
そこで最近では、インターネットによる通信販売などの試みも始めています。
また、埼玉県の洋蘭生産は、全国でも上位に入り、栽培技術や蘭の品質もとても良いものがあります。そうしたことも、より多くの方に知っていただきたいと思い、百貨店での展示会や、全国規模の展覧会などにも、積極的に参加しています。
お花の好きな方にはぜひ、そうした展覧会に足を運んでいただき、埼玉の洋蘭の美しさを知っていただきたいと思います。

そうした、洋蘭のファンを増やすという意味からも、「一輪コチョウラン」や、一輪コチョウランを使った「プリザーブドフラワー」という新たな商品の開発は意義深いものがあると思います。
埼玉県洋蘭生産者組合の組合長として、率先して協力しているところです。
胡蝶蘭は非常にデリケートな花ですから、多くの数を育てていると、花が落ちてしまうものもたくさんあります。
これまでは、一輪落ちてしまうと、鉢全体が商品としてダメになってしまい、廃棄するしかないのが実情でした。
しかし、一輪ずつ別々の商品となる「一輪コチョウラン」や「プリザーブドフラワー」なら、そうした品にも新しい価値を見出すことができます。
用途も、飲食店の装飾用から個人的なものまで、様々なものが考えられ、より多くの方の目に触れることになるでしょう。
大消費地である東京に近いという地の利も活かせば、多くの需要が見込める、有望な市場だと思います。
これまでは特別な場所でしか見ることのなかった「胡蝶蘭」の可憐さを、手のひらサイズで手軽に、しかも長く楽しめる「プリザーブドフラワー」を、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。
